machinopokerface

撮影余話POKER FACE ポーカーフェイス 

etcetra写真集「街のPOKERFACE」1997年より「二重人格」

街の顔を撮り始めた頃はその面白さに没頭した。あくまでも自己満足の何ものでもなかったが、それがマスコミで話題になった1994年からは他人に見せても恥ずかしくないものをと思うようになった。今はこの普遍的なテーマを通じて社会に役立つことを模索中。

展覧会場に来られた方々のアンケートの中に、「今度は○○で撮ってください」と言うのがある。それは、日本各地や海外だったりする。今では、どこへ行っても簡単に顔を探すことができるので特別場所を選ぶことなく、ある種の収穫を得ることができるが、かつてはそうでなかった。週1回の新聞連載では、その地域でいかに新鮮な顔を探すかで苦労した。それでも何とか152回やり遂げた。単に顔に見えるというだけでなく、その地域の特色を出すのが難しい。琵琶湖のほとりの堅田・湖族の郷を歩いた時、水辺に立つ松の木が龍に見えて「竜神」と名付けてポストカードにした。翌年の干支が龍だったので年賀状にしたところ思わぬ反響があった。これなど土地柄にあったもので大満足。その姿をマスコットにしたいと思った。

私の展覧会に、子供連れのご家族がよく来らるれるが、作品を見る子供たちの表情がイキイキし、写真を指差しながら何かしゃべっているようだ。東京銀座のソニービルの会場ではベビーカーに赤ちゃんを乗せた若いお母さんが、「この子が写真を見ながらウマ!ウマ!と言います。何かわかるみたいですよ」と感想を述べてくれた。

夏休みを控えたころ、ある雑誌の編集者からは「親子で夏休みをチープ」に楽しむ方法の一つとして、ポーカーフェイスを取り上げたいが、街中で顔を見つけるポイントを教えて欲しい。ということもあった。

いつものようにカメラ片手に歩いていたら、ある小さな八百屋の店先で無造作にダンボール箱がころがっていた。一旦は通り過ぎかけたが気になって引き返し、じっと見ているうちにその空箱が欲しくなり店主に伝えたが後で使うからと断られた。そう言われればよけいに欲しくなるのが人の心情だ。ただで無理なら200円でわけて欲しいと頼むと意外とすんなり話がついた。バナナが入っていたものだと聞いたが、なんと目玉が2つ、一つの口までついていた。その後、この種のものはパリで見かけたが日本でもスーパーの店頭などでたびたび目に止まるようになった。※(写真の箱)

ある日、いつものように撮影していたら、そばを通りかかった小学生の女の子が「何を撮ってるんですか?」と聞くので「顔」が見えると言ったら、押していた自転車の中で顔を撮ってくださいといわれ困惑した。顔の写真はお姉ちゃんの本で見たことがあり、興味があるらしかった。私の本があるから、また買ってください。というと「いくらですか?」というので定価1000円だと言ったら、ポケットの小銭入れを出して確認し、「380円になりませんか?」と言われ閉口したが住所を聞いていたので後日、プレゼントと書いて郵送してあげた。

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