撮影の四季(時間軸)
写真は2007年5月27日
撮影地とその環境:大阪府堺市美原区太井の山口宅。
2005年に堺市と合併するまでは大阪府南河内郡美原町と称し、バスだけが交通手段で人口4万弱の田舎町だった。
山口邸のブロック壁は南面を向き、四季をを通じてまんべんなく太陽が当たる。正面右端に築40~50年の母屋。左側に
その後に増築された白い2階建ての建物がある。
中庭には松、槙、金木犀、それに壁を乗り越えて高く伸びたモデルの、貝塚いぶきなどが植えられている。
ブロック壁の高さはおよそ180〞。約60〞の間隔の境の線が見える。貝塚いぶきの葉のかたまりは壁から50〞くらい外にはみだしている。それが四季折々に変化のある影を壁に映す。地面と壁の間に排水溝のへこみがある。夏至の頃には長い影がその溝の底まで達する。
中庭の木々は毎年12月に庭師が入り枝葉が剪定される。建
物の西側には細い旧道が、南側は歩道を隔てて高速道路が通る。関西空港方面に通じる高速道路は、15年前に細い旧道を拡張したり、田畑や旧家の移転で完成した。道路は町を2分し、あたりは高架橋の川底に沈んだように一変した。撮影中、背後で地響きをたててトラックが行き交う。
家主の了解を得て、この場所に2006年から月に2̃3回、季節により若干の変動があるが、天気のよい日に朝8時半ごろから午後4時ごろまで壁に向かって撮影を行った。撮影は月軸とほぼ同じ時刻に行い3年半に及んだ。影の位置が太陽光線の角度と共に変化していくのが見える。